履く人に合わせてre-set(リセット)するという意味で『re-setting(リセッティング)』と斎藤が名付けました。
靴店などでシューフィッターがおこなう方法と何が違うかというと、
オーダーパンプスの専門技術で、
足の骨格バランスに合わせて、
パンプスならではの繊細な履き心地に詳しい、
スニーカーと同じ対処では出来ない専門分野
ということ。
市販の靴が合わないとき、どこに相談していますか?
・・・じつは意外と相談できるところは少ないという問題があります。
【 オーダー靴のフィッティング技術で。 】
自作工房では、長年培った『オーダー靴のフィッティング技術』を応用し、市販靴の履き心地調整もご相談にのっています。
「気に入っているけれどちょっと痛くて・・・」
「買ったところに言っても無理だし・・・」
と、履かないまま靴箱で眠らせていませんか?
ハイブランドのパンプス・ブーツ・サンダルのほか、演奏家や声楽家の方々のステージ用パンプスの調整なども、ご相談いただいています。
一般的な対処ではなく、あなたの足にとって履きよい調整方法を丁寧に調べるやり方です。
ほとんどの既成靴は寸法の決まり方にルールがあります。
【 足長をベースに一定比率 】
良く知られているサイズ表示22.5cm、23cm、23.5cm・・・。その足長前提に対し、各部位の寸法は(メーカーによっても多少違いますが)ある一定比率で機械的に決まります。今まで何十年もの間使われ続けているやり方です。
例えば足長に対して内側の親指の付け根までの距離は足長の72.8%。 内側の小指付け根までの距離は63.7%。ヒールのカーブも0.16%など・・・。
【 グレーディング? 】
サイズ展開の際はこれらを一律にグレーディング(縮小・拡大)。
だからサイズが大きくなるにつれて当然、長さだけでなく幅も大きくなるのです。
一方、実際のヒトの足はそんなに一定比率で拡大縮小した数値には当たり前ですがなっていません。
たとえば『手』も厚みや指の長さ、関節のバランス・・・一人ひとり違いますね。
足も同じです。指の長さ、部位ごとの厚み、かかとのカーブ具合、土踏まずの距離だってみんな違う。
お店で既製品を買う時は足長と足幅でしか選べないから、それ以外の違いには普段目を向けていないだけ。
じつはあらゆる部位で個人差が存在します。
たとえば・・・
- 「足幅はあるけど踵は小さめ」
- 「足の指は長く、甲は薄く、足がとても柔らかい」
- 「踵の骨は長く、踵のカーブはあまり無い」
- 「踏まずの長さが短く、着地点の左右の距離差が大きい」・・・
そもそもオーダーでは、お客さま一人ひとりの寸法が最優先。
その立場で足を見ると、量産用のルールで作られた既成靴と足とのミスマッチなところが見えてきます。
・・・骨格のバランスの違いなのか、あるいは外反母趾や踵の外反などの問題か、人によっては足の柔らかさが大きく影響している場合も。
そのミスマッチをどのように解消(あるいは緩和)できるか、個別の足の特徴に取り組み続けているオーダーパンプス専門工房だからできることがあります。
たとえば「つま先が痛い」という一見同じように見える問題でもケースによって要因も対処法もじつはぜんぜん違ったりします。
『リセッティング』では木型の知識が欠かせません。
ヒールのある靴、パンプス等では、「足が靴内で前すべりする」といったご相談も多いのですが、ここでも解決には木型の知識が必須です。
【 体重を支えている足の骨格バランス 】
靴を作る土台ともいえる『木型』。
そもそも木型にはオーダー靴の場合、ひとり一人の踵の長さ、踏まずのサイズバランス、足の指の長さ・・・等様々な情報を反映させています。本来はそれがきちんと合っていなければ、快適な靴にならないからなのです。
『木型の知識』を理解しているからこそ可能な調整方法というのがあります。
「よそでうまく調整してもらえなかった・・・」という方もぜひ諦めずに『リセッティング』、試してみてください。
巷のシューフィッター等の手法とは違うクオリティの調整です。
【 ご自身の足長に合わせて買った市販のパンプスが履けない原因 】
以下のような要因で、様々な問題が生じます。
1.市販されているパンプスの構成構造が自分の足に合っていない
人間の足の骨格構成は人それぞれ。
足長が23cmであっても踵から親指の付け根
間での距離(内踏まず距離)、踵から小指の付け根間での距離(外踏まず距離)の長さ
が人によって違いますが、市販されている靴の内、外踏まず距離は靴の大きさ(長さ)
の外側71~73%、外側62~64%の長さに決められています。
同じ23cmの足長であっても指先が長い人は当然内、外踏まずは短くなり、足指が短い人は長めになります、この靴との違いを直さなければ足に合った靴にはなりえません。
この部分の調整が足にあわせる靴調整には欠かせない技術です。
この違いで生じる問題は・・・
- 足が前に滑り、踵に隙間が出来て踵がパカパカになる。
- つま先が窮屈になり、特に小指に痛みを生じる。
- 親指の付け根の後ろに隙間を感じて安定しない。
2.踵のカーブが自分の足の踵の形状に合っていない
以下のような要因で、様々な問題が生じます。
市販のパンプスの踵のカーブ(ヒールカーブ)は一定の基準に添って作られています。
基準は踵を柱などにくっつけて立ってみて床から55~56mmの高さで柱から足が離れている距離が6~8mmが基準。
その設定では、かかとの一番出っ張っているところは床から足長の10%の高さででっぱり加減は1.6%としています。
足長23cmの人なら、床からの高さ2.3cmの位置ででっぱり加減は3.6mm。
しかし人のヒールカーブは人それぞれ。
カーブがほとんとない方もいれば、カーブが強くおよそ10~12mmもある方など。
また長年市販のパンプスを履くことで靴とスレ、皮膚が角質化し、コブの様になって
いる方もよく見かけます。
この違いで生じる問題は(足のカーブがゆるい場合)・・・
- 靴のヒールカーブとの差が小さい場合は常に擦れ靴ズレが生じます。
- その差が大きく違う場合は歩く度にあったっている部分が足を前に押し出し 踵が脱げやすくなります。
足のカーブが強い場合は踵を押さえる事ができなく、抜けやすくもなります。快適に履ける靴に調整するにはこの部分を調整できる技術が必要です。
3.踵周りのサイズが大きい
以下のような要因で、様々な問題が生じます。
靴の踵の底面は基準に添って作られている為、履く人の踵の大きさに準じていません。
【 大きさ問題 】
(作る側の都合ですが)ヒールを取り付けるために幅をヒールの幅に合わせておく必要があります。
さもないとヒールを削らなくてはならず、大変な時間と労力が必要となるから。
ゆえに製造メーカーはサイズ22cm以下の靴を作りたがらない傾向があります。
【 足の向きにも個人差があります。 】
あまり知られていませんが、足の向きにも個人差があります。しかし靴の踵が小さいとそれを許容出来ません。だから既成靴では踵の幅を大きめに想定しています。でないと足が靴の向きに合わない場合、小指側があたってしまうなど問題が起こりやすいのです。
この踵の大きさの違いで生じる問題は・・・
- 踵が左右に動き靴ズレが生じやすくなる。
- 踵が抜けやすい。
【 踵の大きさの変化 】
また人によっては踵の底面に脂肪が多く柔らかい方がいます。着地面積が幅に対して小さい場合、体重が掛かって広がって隙間ができてしまう。その一方、歩行時に踵に体重がのらない場合は脂肪分は下に下がり踵の幅が小さくなる、ゆえに踵が抜けやすくなるのです。
パンプスを快適に履くための調整はこれらの問題を解消する技術が要求されます。
4.この他の様々な要因
この他には足幅が大きすぎる、小さすぎる、足が内側に倒れ内側が擦れるなど様々な要因で、足裏にタコ、魚の目ができやすい、体が前傾姿勢になり、疲れやすい等の問題が足に合っていない靴では生じます。
足幅がきつい、緩いは自身でも履いてみてすぐ自覚できますが、タコ、魚の目、疲れやすいなどは問題が生じてからでないと気付きにくく、靴のせいである場合があります。
【 こんなチェック方法もあります。 】
素足で床に立ち、指先を1~2cm上げ、踵を履きたい靴のヒールの高さに挙げてみて下さい。この時、体をささえている部分が靴を履いた時に地面に当たる箇所と同じか否かがポイントです。もし位置が違っていれば(多くは靴を履いた時の位置が素足で確認した位置より前にある)その調整をする必要があります。
その調整だけでかなり履きやすい靴になります。
料金
靴種 | 対応範囲 | 料金 (税別) |
---|---|---|
パンプス | ご自身の足サイズ(実寸)より2サイズ(1cm)以内のサイズ差(大きい場合のみ)の履き心地調整です。 | ¥4,000~6,000 |
パンプス以外の靴 | 同上 | ¥6,000~8,000 |
紳士靴 | 紳士靴は制作は致しておりませんが、既製靴の持ち込みでフル調整を承っております。 実寸測定値より2サイズ以内の縮小範囲での調整です。 | お問合せください。 |
ながれ
- 不一致の確認
工房で、まず直したい靴を履いてみていただき不一致の部分を確認します。
気になるところも詳しくお聞かせください。 - 誤差範囲の確認
ケースにもよりますがフットプリント等で不一致の誤差範囲を確認します。
ここで誤差が調整の範囲を超えている場合は調整不可です。
★ここまでの場合、料金はかかりません。 - 調整方法の確認と料金案内
調整の範囲内であれば、実際に調整を簡易的に行います。履き心地を確認していただいたうえで、その加工料金をご案内します。
調整の実行または取りやめを行うかお決めください。
★この時点で取りやめの場合は簡易的調整のみ¥2,000-(税別)をいただきます。 - 調整料金について
費用は(たとえばパンプス調整の)ほとんどの場合¥4,000~6,000-(税別)となります。
ただし、大きな変更を余儀なくされる場合は追加料金が生じることもあります。
その場合、必ず事前に金額の提示を致しますので、その時点で実行の可否をお決めください。 - その他の追加料金
【 内容や程度により料金をご案内します 】
踵の幅縮小、
靴そのものの減りのための半ばり(踵を新たに作り直す)、
外的修正(ほつれ・擦り傷補正)
ヒールの交換、
中敷きの交換、
ストラップの取り付けなどです。